2019/12/24 21:39
スウェーデンの巨匠スティグ・リンドベリが1982年にデザインしたクリスマスプレート『マリア』には、とてもユニークな聖母子像が描かれています。
花々の咲き乱れる庭。鳥の巣のようなモサモサの髪。花と真珠の髪飾り。指に留まった小鳥。ディテールがあちこち楽しい!
中でも目を引くのが「光輪」と「聖母の口元」です。
その輪をなぜつまむ?
聖母マリアが幼子イエスの光輪を指でつまんでいます。珍しいポーズですね。
宗教的な解釈もできそうですが、もしかしたらリンドベリはもっと無邪気に、聖母役のモデルの女性が輪を持って腰かけている光景をそのまま描いたのかもしれません。
あの人に似ている
それよりも気になるのが、彼女の口元です。
この微笑み、どこかで見た気が……あっ。
見比べてみてください。
ダヴィンチが色の濃淡で笑みを浮かび上がらせた、まさにその位置をなぞるように細い線が引かれています。リンドベリは聖母マリアの口元に、モナリザの永遠の微笑みをたたえさせたかったのかもしれません。
イタリアへの想い
見ている人の顔までほころんで来そうな、楽しく晴れやかなクリスマスプレート。そこには陽光あふれるイタリアへの想いもこめられている気がします。母国スウェーデンで数多くの業績を残したリンドベリは1979年、病をかかえた身で暖かいイタリアへ移住。この作品が発売された1982年に66年の生涯を終えました。
クリスマスが終わっても、ずっと飾っておきたい。花々に彩られた『マリア』はそんな絵皿です。