2020/03/31 20:49
CDサイズの
かわいい陶板です
草やぶから顔を出した白うさぎ。
そんなところで何をしているの?
フィンランドの国民的な陶芸家であり絵本作家でもあるヘルヤ・リウッコ=スンドストロムが作った小さな陶板です。サイズは縦横約12cm。背面に壁掛け用の金具が付いています。
この陶板、じつはヘルヤさんが書いた絵本『地平線のかなたまで』の一場面なのです。
小道を横切って向こうの森へ行きたい白うさぎさん。けれども自動車や犬がこわくて道に出られません。そこへ1ぴきの子うさぎが通りかかります。この子うさぎ君、生まれつき足が弱くて落ちこんでいたのですが、ふとしたことで自分の特技に気づきます。その特技を使って白うさぎさんを助けるのです。物語のつづきが気になる方は、本屋さんか図書館で探してみてください。エンディングもとっても素敵ですよ。
疲れた心を
癒してくれる物語
ヘルヤさんはこんな陶板も作っています。描かれているのは短編『ぬいぐるみの涙』に登場するぬいぐるみのヒツジたち。
人間の子どもはおとなになると、あれほどかわいがっていたぬいぐるみを忘れてしまいます。ご用済みになったぬいぐるみたちは空を飛んで無人島へわたり、島で気ままに暮らしはじめるのです。
けれども最後には、ぬいぐるみたちはこう言って人間の住む町へふたたび帰ってゆきます:
「世の中は、私たちがとびだしてきたときより、もっと冷たくなって、不安にみちているわ。多くの人の泣き声がきこえるの。私たちを必要としている人がたくさんいるのよ」
デジタルな画風に慣れてしまった21世紀の私たちの目には、ヘルヤさんのふるえるような手描きの線がじんわりとしみてきます。
一度見ると忘れられない、不思議で優しい陶板たち。他にもいろいろな絵柄が入荷しました。当店のショップページをぜひ覗いてみてください。
参考文献
『地平線のかなたまで』稲垣美晴訳(猫の言葉社)
『いつまでも大切なもの』稲垣美晴訳(猫の言葉社)