2023/03/01 12:02
1950年代、テレビの普及と共にユニークなかたちの食器が作られました。
ソーサーにしては大きすぎるお皿。
コーヒーカップを載せて、その横にお菓子を置けるようになっています。
テレビ鑑賞を楽しむ時の食器なのでTVカップ&ソーサーやTVセットなどと呼ばれていました。サンドイッチのような軽食も載せていたようです。
これ、意外と便利なんですよ。
コーヒーを淹れてテレビの前に腰かけたら、ひとりでのんびりスナックタイム。プレートを胸元に引き寄せればビスケットのかけらがこぼれても大丈夫。北欧で作られたTVカップ&ソーサーは、明るく楽しいデザインが多い印象です。
あれから70年。ひとり時間の過ごし方もずいぶん変わりしました。
テレビを観るかわりにスマートフォンやパソコンをひらきます。
TVカップ&ソーサーという呼び名は今の時代にあまり合わないようです。
そこでコグマスではこの食器セットに新しい呼び名をつけることにしました。
《ヒトリフィーカ》。
1人でフィーカを楽しめる食器セット、の意味をこめています。
こちらはリーキンクッコのヒトリフィーカ(1961-66年/Arabia/フィンランド)。
カイ・フランクがデザインしたフォルムに孔雀(Riikinkukko)が羽を広げたような幾何学模様をライヤ・ウオシッキネンがデコレートしました。
キノのヒトリフィーカ(1958年/Rorstrand/スウェーデン)。
近未来SFの映画(Kino)のひとコマに出てきそうなポップなデザインです。
フィーカはコーヒーとお菓子を囲んで友だちや家族や仕事仲間と楽しく語り合うひととき。会話が気分をリフレッシュさせ、仕事の生産性を高めます。つまり、フィーカは数人で楽しむもの。
だったら《ヒトリフィーカ》って変じゃない?
いいえ、ちっとも変じゃないのです。
なぜなら今はリモートで人とつながれる時代だから。
コーヒーやお茶を淹れてSNSで友だちの投稿にいいねを押したり、コメントを書いたり、チャットしたり。今時のフィーカはオンラインで世界とつながる時間でもあります。
オンラインのお茶会もいいですね。
パソコンの前にヒトリフィーカを用意して、おやつをスタイリッシュに楽しみます。画面の向こうのお友だちから「何それ、かわいい」と注目されるかも。
きょうのお菓子はプレートに盛りつけた分だけと決めておけば、おやつを食べ過ぎる心配もありません。
ほっと一息のひとときに
あなたもヒトリフィーカで
誰かとリモートフィーカしてみませんか?
エミリア(Emilia)のヒトリフィーカ(1949-64年/Arabia/フィンランド)。
こちらもカイ・フランクとライヤ・ウオシッキネンのコラボ作品です。
庭の長椅子に足を投げ出してお茶のひとときを楽しむ女性。カップを載せる凹みのまわりには丹精して咲かせて鉢花がずらり。エミリアのカップにはオープンカフェの陽だまりで過ごす家族連れや、おめかしした女性たちが描かれています。
コグマスでは今後も折にふれて《ヒトリフィーカ》をご紹介してまいります。どうぞお楽しみに。